8020運動とは？80歳で20本の歯を残すメリットと達成するためのポイント
目次
- 8020運動とは？その目的と意義
- 8020運動の達成率
- 8020運動を達成するための具体的な方法
- 歯を守るために必要なセルフケア
- 定期的な歯科検診の重要性
- 8020運動を支える生活習慣
- 日本の8020達成率はどのくらい？
- 8020を達成できなかった場合の対策
- 8020運動のまとめ
渋谷区恵比寿の歯医者・矯正歯科「ココロデンタル恵比寿」です。
「80歳になっても20本以上の歯を残すこと」は、健康的な生活を送るために重要な目標です。
8020運動は、厚生労働省と日本歯科医師会が提唱し、全国的に推進されている口腔ケアの取り組みです。
自分の歯をできるだけ多く残すことで、食事を楽しみ、しっかり噛んで栄養を吸収し、全身の健康を維持できます。
今回は、8020運動の目的やその重要性、達成するための具体的な方法について詳しく解説していきます。
8020運動とは？その目的と意義
8020運動の基本概要
8020運動とは、「80歳になっても20本以上の歯を残すことを目標とする」国民運動です。
1989年に厚生労働省（当時）と日本歯科医師会が提唱し、日本全国で広く普及しています。
歯が20本以上残っていれば、しっかりと食事を噛んで栄養を摂取することができ、生活の質が向上するとされています。
そのため、定期的な歯科検診やセルフケアの重要性が強調されるようになりました。
80歳で20本の歯が必要な理由
人が健康的に食事を楽しむためには、最低20本の歯が必要とされています。
これは、食べ物をしっかり噛むことで消化を助け、胃腸への負担を軽減できるためです。
特に高齢になると、食事から十分な栄養を摂ることが難しくなるため、歯の健康が直接、全身の健康にも影響を与えます。
歯が減ると、食べられる食品の種類が限られ、栄養バランスが偏るリスクが高まります。
その結果、低栄養や体力の低下を招き、要介護のリスクが上昇することが指摘されています。
8020運動の歴史と現在の状況
8020運動は、日本の高齢者の歯の健康を改善するために始まりました。
1980年代後半、日本の高齢者の多くが総入れ歯を使用しており、食事の満足度が低いことが問題視されていました。
そこで、厚生労働省と日本歯科医師会が8020運動を提唱し、国民の口腔健康意識を向上させるために歯科健診の推奨や予防歯科の啓発を行ってきました。
その結果、達成率は徐々に向上し、近年の調査では高齢者の約50％が8020を達成していることが報告されています。
8020運動の達成率
日本の8020達成率はどのくらい？
厚生労働省が実施した2022年の歯科疾患実態調査によると、80歳以上の高齢者のうち、51.6％が8020運動の目標を達成していることが報告されています。
この数値は、1989年当初の達成率7％と比較すると大幅に向上しています。
これは、定期的な歯科検診の受診率が上がったことや、歯科医療の進歩によって歯を長持ちさせる治療法が普及したことが影響しています。
8020を達成するために重要な要素
8020運動の達成率を上げるためには、いくつかの重要な要素があります。
- 定期的な歯科検診を受けることで、早期に虫歯や歯周病を発見し、適切な治療を受ける。
- 正しいセルフケアを行い、歯磨き習慣を身につける。
- 糖分を過剰に摂取せず、歯の健康に良い食材を積極的に取り入れる。
世界の8020達成率との比較
日本では8020達成率が50％を超えていますが、予防歯科が進んでいる北欧諸国と比較するとまだ低い水準です。
例えば、スウェーデンでは70％以上の高齢者が自分の歯を20本以上保持しているといわれています。
これは、幼少期からの歯科教育やフッ素の活用、定期的な歯科受診が一般的に行われているためです。
日本でも8020達成率をさらに向上させるためには、予防歯科の重要性をより広く周知し、若い世代からの意識改革が求められます。
歯を守るために必要なセルフケア
正しい歯磨き習慣を身につける
8020運動を達成するためには、日々の歯磨き習慣が欠かせません。
歯磨きは1日2回以上、特に就寝前のケアを徹底することが重要です。
夜間は唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすいため、就寝前にしっかり歯垢を除去することが虫歯や歯周病予防につながります。
また、歯と歯の間の汚れを落とすために、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが推奨されています。
フッ素を活用した予防ケア
フッ素には歯の再石灰化を促し、虫歯を防ぐ効果があります。
- フッ素が1450ppm以上含まれている歯磨き粉を使用する。
- 定期的に歯科医院でフッ素塗布を受ける。
特に高齢になると歯のエナメル質が摩耗しやすくなるため、フッ素の活用は8020達成に向けた重要なポイントとなります。
食生活の見直し
歯の健康には、食生活の影響も大きく関わります。
- 糖分の摂取を控える（特に間食を減らす）。
- カルシウムやビタミンDを含む食品を積極的に摂取する。
- 歯の再石灰化を促す食材（牛乳・チーズ・大豆製品・魚など）を取り入れる。
定期的な歯科検診の重要性
予防歯科の役割とは？
予防歯科とは、虫歯や歯周病が発生する前に対策を講じることを目的とした歯科医療のことです。
8020を達成するためには、予防歯科の意識を持ち、定期的に歯科医院を受診することが大切です。
定期検診では、歯のクリーニングや初期の虫歯・歯周病のチェックが行われ、必要に応じて適切な処置が施されます。
これにより、歯を長く健康に保つことが可能になります。
歯科医院で受けるべき予防処置
定期検診では、以下のような予防処置を受けることができます。
- スケーリング（歯石除去）：歯に付着した歯石を除去し、歯周病の進行を防ぎます。
- PMTC（プロフェッショナルクリーニング）：専用機器を使用して、歯の表面や歯間の汚れを徹底的に除去します。
- シーラント処置：奥歯の溝を埋めることで、虫歯のリスクを軽減します。
これらの処置を受けることで、日常のセルフケアでは取り除けない汚れを落とし、口腔内の健康を維持することができます。
定期検診の頻度とタイミング
定期検診の頻度は、最低でも年に2回が推奨されています。
しかし、歯周病のリスクが高い人や、以前に虫歯治療を受けたことがある人は、3〜4ヶ月に1回の受診が理想的です。
特に高齢になると、歯茎が下がり、歯の根が露出しやすくなるため、歯周病のリスクが高まります。
定期的な検診を受けることで、8020達成の可能性を高めることができます。
8020運動を支える生活習慣
正しい咀嚼習慣を身につける
咀嚼（そしゃく）は、食べ物を噛み砕くだけでなく、唾液の分泌を促し、口腔内の環境を整える役割も担っています。
特に高齢者にとっては、しっかりと噛むことが認知症予防にもつながるとされています。
そのため、食事の際にはよく噛むことを意識し、柔らかいものばかり食べる習慣を避けることが重要です。
ストレス管理と歯ぎしり対策
ストレスは歯ぎしりや食いしばりの原因となり、歯に過度な負担をかけることがあります。
特に、寝ている間に無意識に歯を強く噛みしめてしまうことが多く、歯が摩耗する原因になります。
このような場合、ナイトガード（マウスピース）を使用することで歯への負担を軽減できます。
また、日常的にリラックスする時間を作り、ストレスをコントロールすることも大切です。
全身の健康と歯の関係
口腔の健康は、全身の健康と密接に関わっています。
例えば、歯周病は糖尿病や心血管疾患のリスクを高めることが知られています。
逆に、8020を達成し、歯の健康を維持することで、全身の健康状態も良好に保たれる傾向があります。
そのため、日常的にバランスの良い食生活を送り、適度な運動を取り入れることも8020達成には重要な要素となります。
日本の8020達成率はどのくらい？
8020運動の達成率は年々向上
8020運動が始まった1989年当初、日本の高齢者の8020達成率はわずか7％でした。
しかし、近年では8020を達成する高齢者が増え続けており、厚生労働省の2022年歯科疾患実態調査によると、達成率は51.6％にまで向上しています。
これは、歯科医療の発展や予防歯科の普及、国民の意識向上が影響していると考えられます。
年代別の達成状況
年代別に見ると、80歳以上で8020を達成している割合は過去の調査と比べて大幅に上昇しています。
しかし、70代や60代の段階で歯を失う人もまだ多く、早い段階からの口腔ケアが求められています。
特に50代〜60代の段階でしっかりと歯周病予防と定期検診を継続することが、8020達成のカギとなります。
先進国との比較
日本の8020達成率は向上していますが、予防歯科が発展している北欧諸国（スウェーデン・ノルウェー・フィンランド）では、80歳で平均25本以上の歯を保持している人が多いというデータもあります。
これは、幼少期からのフッ素使用や、定期的な歯科検診の徹底によるものです。
日本でも8020を達成するために、より予防歯科の重要性を広める必要があります。
8020を達成できなかった場合の対策
8020を達成できなくてもできること
仮に80歳までに20本の歯を維持できなかったとしても、適切な治療と口腔ケアを行うことで生活の質（QOL）を向上させることができます。
入れ歯（義歯）やブリッジ、インプラントを適切に活用すれば、咀嚼機能を回復し、食事を楽しむことができます。
特に、よく噛むことは認知症予防にもつながるため、しっかりと自分に合った義歯を選ぶことが大切です。
適切な義歯（入れ歯）やインプラントの活用
- 部分入れ歯・総入れ歯：歯を失った場合に最も一般的な選択肢で、保険適用のものから精密なオーダーメイドの義歯まで幅広い種類があります。
- ブリッジ：失った歯の両隣の歯を支えにして人工歯を装着する方法です。しっかりとした固定感がありますが、健康な歯を削る必要があります。
- インプラント：顎の骨に人工の歯根を埋め込む方法で、天然の歯と同じような噛む力を取り戻せます。ただし、手術が必要であり、費用も高額になるため、慎重な検討が必要です。
8020未達成でも口腔機能を維持するポイント
8020を達成できなかった場合でも、口腔機能の維持が重要になります。
以下のような習慣を取り入れることで、食事や会話の快適さを維持できます。
- 入れ歯の適切なメンテナンス：毎日清掃し、定期的に調整を行う。
- 口腔体操の実践：あいうべ体操や舌のストレッチを取り入れることで、飲み込みや発音の機能を保つ。
- しっかり噛む習慣を継続：軟らかいものばかり食べず、噛みごたえのある食品を適度に摂取する。
8020運動のまとめ
8020運動とは、「80歳になっても20本以上の歯を残すこと」を目指す健康増進活動です。
これを達成することで、咀嚼機能を維持し、食生活の満足度を高め、全身の健康維持にもつながります。
8020を達成するためには、日々のセルフケアと定期的な歯科検診が不可欠です。
特に、正しい歯磨き習慣の確立、フッ素の活用、バランスの良い食生活が重要となります。
8020を達成できなかった場合でも、適切な義歯やインプラントを活用し、口腔機能を維持することが大切です。
8020達成のために今できること
- 毎日の正しい歯磨きを徹底し、デンタルフロスや歯間ブラシを活用する。
- フッ素を取り入れたケアを行い、歯の再石灰化を促進する。
- バランスの取れた食生活を意識し、歯に良い食品を摂取する。
- 定期的に歯科医院で検診を受け、早期治療と予防ケアを行う。
- 噛み合わせや口腔機能を維持するため、咀嚼の習慣を意識する。
今後、8020運動をさらに推進するためには、個人の意識改革だけでなく、国や自治体、企業、歯科業界全体での取り組みが求められます。
定期検診の普及、予防歯科の強化、高齢者向けの口腔ケア支援などを継続的に実施することで、より多くの人が8020を達成し、健康的な人生を送ることができるでしょう。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
少しでもお役に立てれば幸いです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
監修者
日本大学歯学部卒業後、日本大学歯学部附属歯科病院に入局、その後に大崎シティデンタルクリニック、高輪クリニック、麻布シティデンタルクリニックに勤務、
2017年ココロデンタル恵比寿開業、2021年ココロデンタル西麻布開業
【略歴】
・日本大学歯学部 卒業
・日本大学歯学部付属歯科病院
・大崎シティデンタルクリニック
・麻布シティデンタルクリニック
・ココロデンタル恵比寿開業
・ココロデンタル西麻布開業
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