マウスピース矯正で噛み合わせは治る?シュアスマイルの適応症例と限界を徹底解説
マウスピース矯正で本当に噛み合わせは改善できるのか
「マウスピース矯正で歯並びはきれいになるけれど、噛み合わせまで治るのだろうか」……こんな疑問を抱えている方は少なくありません。
近年、透明で目立ちにくいマウスピース矯正が注目を集めています。特にシュアスマイル(SureSmile)は、デジタル技術を活用した精密な治療計画により、多くの症例に対応できる矯正システムとして知られています。しかし、すべての噛み合わせの問題がマウスピース矯正だけで解決できるわけではありません。
矯正治療の本来の目的は、見た目の美しさだけでなく、「正しい噛み合わせ」を実現することです。噛み合わせが悪いと、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、顎関節症や肩こり、頭痛といった全身の不調にもつながる可能性があります。

シュアスマイルとは?デジタル技術を活用した矯正システム
シュアスマイルは、米国デンツプライシロナ社が提供するマウスピース型矯正装置です。
最大の特徴は、世界最高精度の口腔内スキャナー「プライムスキャン」を用いて、患者さんの歯型をデジタルデータとして記録する点にあります。従来の粘土のような材料を使った型取りが不要なため、嘔吐反射が強い方や型取りが苦手な方でも快適に検査を受けられます。
3Dシミュレーションで治療後の歯並びを事前確認
シュアスマイルでは、スキャンしたデータをもとに、現在の歯並びから治療完了時の歯並びまでをコンピューター上で視覚化できます。治療前に「どのように歯が動いていくのか」「最終的にどんな歯並びになるのか」を確認できるため、患者さんの不安を軽減しながら治療を進められます。
エシックス素材による高い適合精度
シュアスマイルは「エシックス(Essix)」という特殊なプラスチック素材を使用しています。この素材は透明で薄く、軽いため、装着したままでも普段通りに会話がしやすいという利点があります。また、ワイヤー矯正のように口の中を傷つけるリスクがほとんどありません。

マウスピース矯正で改善できる噛み合わせの症例
マウスピース矯正は、すべての噛み合わせの問題に対応できるわけではありません。しかし、適切な症例選択と治療計画により、多くのケースで噛み合わせの改善が期待できます。
叢生(そうせい)〜歯が重なり合っている状態
叢生とは、歯が生えるスペースが不足しているために、歯が重なり合ったりデコボコに並んだりしている状態を指します。いわゆる「八重歯」もこの叢生の一種です。
軽度から中等度の叢生であれば、マウスピース矯正で歯列を拡大したり、必要に応じて抜歯を行ったりすることで、歯を正しい位置に並べることが可能です。歯並びが整うことで、歯ブラシが届きやすくなり、虫歯や歯周病のリスクも軽減されます。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)〜いわゆる出っ歯
上顎前突は、上の前歯が前方に突出している状態です。前歯が前に出ていることで口元が突出して見えたり、口が閉じにくかったりする場合があります。
前歯の傾斜が主な原因であれば、マウスピース矯正で前歯の位置を調整することで、口元の印象を改善できる可能性があります。ただし、骨格的な問題が大きい場合は、マウスピース矯正だけでは限界があることもあります。
過蓋咬合(かがいこうごう)〜噛み合わせが深い状態
過蓋咬合は、上の前歯が下の前歯を深く覆い隠している状態です。噛み合わせが深すぎると、下の前歯が上の前歯の裏側の歯茎を傷つけたり、顎関節に負担がかかったりすることがあります。
マウスピース矯正では、前歯を適切な位置に移動させることで、噛み合わせの深さを調整できるケースがあります。ただし、骨格的な要因が強い場合は、治療の限界を理解しておく必要があります。
空隙歯列(くうげきしれつ)〜いわゆるすきっ歯
空隙歯列は、歯と歯の間に隙間がある状態です。前歯の間に隙間がある「正中離開」が代表的な例です。
歯のサイズが小さい、歯の本数が少ない、舌で前歯を押す癖があるなどの原因で生じます。マウスピース矯正で歯を移動させて隙間を閉じることが可能ですが、舌の癖がある場合は、矯正後に後戻りしやすいため、舌のトレーニングも併せて行うことが重要です。

マウスピース矯正の限界〜対応が難しい症例とは
マウスピース矯正は多くの症例に対応できますが、すべての噛み合わせの問題を解決できるわけではありません。
骨格的な問題が大きい症例
顎の骨格そのものが前方に突出している、または後退している場合、マウスピース矯正だけでは十分な改善が難しいことがあります。このような骨格性の不正咬合では、外科的矯正治療(顎の骨を切る手術)を併用する必要がある場合があります。
重度の叢生や開咬(かいこう)
開咬とは、奥歯は噛んでいるのに前歯が噛み合わない状態です。指しゃぶりや舌を前に出す癖、口呼吸などが原因で生じることがあります。
重度の開咬や叢生の場合、マウスピース矯正だけでは歯を十分に動かせないことがあります。このような症例では、ワイヤー矯正や部分的にワイヤーを併用するハイブリッド矯正が適している場合があります。
歯の移動量が大きい症例
マウスピース矯正は、少しずつ歯を動かしていく治療法です。そのため、歯を大きく移動させる必要がある症例では、治療期間が長くなったり、思うような結果が得られなかったりすることがあります。
マウスピース矯正における「噛み合わせ」の矛盾
マウスピース矯正には、構造上の矛盾があることを理解しておく必要があります。マウスピースを装着している間は、マウスピースの厚みの分だけ上下の歯が離れた状態になります。つまり、「噛み合わせの治療を行っているのに、食事時以外は歯が噛んでいない」という状態が続くのです。
この矛盾により、治療中に奥歯が噛み合わなくなる「臼歯部開咬」が生じるリスクがあります。特に、治療計画が不適切だったり、マウスピースの装着時間が不十分だったりすると、このようなトラブルが発生する可能性が高まります。

非抜歯で治せるケース〜歯を抜かずに矯正できる可能性
「矯正治療では歯を抜かなければならない」と思われている方も多いかもしれません。しかし、シュアスマイルをはじめとするマウスピース矯正では、抜歯をせずに治療できる可能性が高いとされています。
歯列弓の拡大による非抜歯矯正
マウスピース矯正では、歯列弓(歯が並ぶアーチ)を少しずつ拡大することで、歯が並ぶスペースを確保できる場合があります。これにより、抜歯をせずに叢生を改善できるケースがあります。
ただし、歯列弓の拡大には限界があります。無理に拡大しすぎると、歯の周囲の骨の範囲を超えて移動してしまい、歯肉が下がったり、歯の神経が失活したりするリスクがあります。
IPR(歯の側面を削る処置)の活用
IPR(Interproximal Reduction)とは、歯と歯の間をわずかに削ってスペースを作る処置です。削る量は0.2〜0.5mm程度と非常にわずかで、歯にダメージを与えることはほとんどありません。
IPRを活用することで、抜歯をせずに必要なスペースを確保できる場合があります。ただし、IPRだけでは十分なスペースが得られない症例では、抜歯が必要になることもあります。
抜歯が必要なケースとは
以下のような場合は、抜歯を伴う矯正治療が推奨されることがあります。
- 歯が並ぶスペースが大幅に不足している
- 口元の突出感が強く、前歯を大きく後退させる必要がある
- 歯列弓の拡大やIPRだけでは対応できない
抜歯の判断は、精密検査の結果をもとに、患者さんの希望や顔貌のバランスを考慮して行われます。
シュアスマイル矯正の治療の流れと期間
シュアスマイルによる矯正治療は、以下のような流れで進められます。
初回カウンセリングと精密検査
まず、患者さんの歯並びや噛み合わせの状態を確認し、治療の目的やご希望を詳しくお伺いします。その後、口腔内スキャナーを使ってデジタルデータを取得し、歯科用CTやレントゲン撮影を行います。
これらの検査結果をもとに、歯の大きさや形、顎の骨格、噛み合わせのバランスなどを詳細に分析します。
治療計画の立案とシミュレーション
精密検査の結果をもとに、3Dシミュレーションで治療計画を作成します。現在の歯並びから治療完了時の歯並びまで、どのように歯が動いていくのかを視覚的に確認できます。
治療期間、使用するマウスピースの枚数、抜歯の必要性、治療費用などについて詳しくご説明し、患者さんが納得された上で治療を開始します。
マウスピースの製作と装着
治療計画が確定したら、治療完了までのすべてのマウスピースを一括で製作します。マウスピースは約1〜2週間ごとに新しいものに交換していきます。
マウスピースは1日20〜22時間以上装着する必要があります。食事や歯磨きの時以外は、基本的に装着したままで過ごします。
定期的な通院とチェック
治療中は、1〜3ヶ月に1度程度の頻度で通院していただき、歯の動きや噛み合わせの状態をチェックします。計画通りに歯が動いているか、マウスピースの適合状態に問題がないかを確認します。
治療期間の目安
シュアスマイルの治療期間は、症例の難易度によって異なりますが、一般的には1年半〜2年半程度です。軽度の叢生や空隙歯列であれば、より短期間で治療が完了することもあります。
保定期間の重要性
矯正治療が完了した後は、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐために、保定装置(リテーナー)を装着します。保定期間は通常2〜3年程度で、この期間をしっかり守ることが、美しい歯並びを長期的に維持するために不可欠です。

マウスピース矯正を成功させるためのポイント
マウスピース矯正の効果を最大限に引き出すためには、患者さん自身の協力が欠かせません。
装着時間を守る
マウスピースは1日20〜22時間以上装着する必要があります。装着時間が不足すると、計画通りに歯が動かず、治療期間が延びたり、追加のマウスピースが必要になったりすることがあります。
マウスピースの管理と清掃
マウスピースは毎日清潔に保つ必要があります。食後は歯磨きをしてからマウスピースを装着し、マウスピース自体も柔らかい歯ブラシで優しく洗浄します。熱湯で洗うと変形する恐れがあるため、水かぬるま湯を使用してください。
定期的な通院を欠かさない
治療中の定期チェックは、計画通りに治療が進んでいるかを確認するために重要です。通院をサボると、問題が生じても早期に対処できず、治療結果に影響が出る可能性があります。
舌や口の癖を改善する
舌で前歯を押す癖や口呼吸の習慣があると、矯正治療後に後戻りしやすくなります。必要に応じて、舌のトレーニングや口腔筋機能療法(MFT)を併用することで、長期的な安定性を高めることができます。
まとめ〜マウスピース矯正で理想の噛み合わせを手に入れるために
マウスピース矯正、特にシュアスマイルは、透明で目立ちにくく、取り外しが可能という大きなメリットがあります。軽度から中等度の叢生、上顎前突、過蓋咬合、空隙歯列など、多くの症例で噛み合わせの改善が期待できます。
しかし、骨格的な問題が大きい症例や重度の不正咬合では、マウスピース矯正だけでは限界があることも事実です。また、マウスピース矯正特有の構造的な矛盾により、治療中に奥歯が噛み合わなくなるリスクもあります。
だからこそ、精密な検査と正確な診断、そして適切な治療計画が不可欠なのです。
ココロデンタル恵比寿では、3D口腔内スキャナーと歯科用CTを使った精密な診査・診断を行い、患者さん一人ひとりに最適な治療計画をご提案しています。治療前後のシミュレーションで、治療のゴールを明確にイメージしていただけます。
マウスピース矯正で本当に噛み合わせが改善できるのか、ご自身の歯並びがマウスピース矯正に適しているのか……まずは無料カウンセリングでお気軽にご相談ください。
恵比寿駅西口から徒歩1分、平日は21時まで診療しているため、お仕事帰りにも通いやすい環境です。全室完全個室の落ち着いた空間で、あなたの理想の笑顔を実現するお手伝いをさせていただきます。

著者情報
ココロデンタル 院長 小林 弘樹 Hiroki Kobayashi
経歴
2010年 日本大学歯学部卒業
2010年 日本大学歯学部附属歯科病院勤務
2011年 大崎シティデンタルクリニック勤務
2015年 麻布シティデンタルクリニック勤務
2017年 ココロデンタル恵比寿
2021年 ココロデンタル西麻布