マウスピース矯正中の発音トラブル完全ガイド|原因と改善法を徹底解説
マウスピース矯正を始めたばかりの方から、「話しにくい」「発音がうまくできない」というご相談をよくいただきます。
透明で目立ちにくく、取り外しも可能という大きなメリットがある一方で、装着直後は発音に違和感を覚える方が少なくありません。特にお仕事で人前で話す機会が多い方にとっては、深刻な悩みとなることもあるでしょう。
今回は、マウスピース矯正中に起こりやすい発音トラブルの原因と、その改善方法について詳しく解説していきます。

マウスピース矯正で発音が変わる理由
マウスピース矯正を始めると、多くの方が一時的に発音の変化を経験します。これは決して珍しいことではなく、矯正治療の過程で自然に起こる現象です。
舌の動きが制限される仕組み
マウスピースは厚さ約0.5mm程度と非常に薄い設計になっていますが、歯全体を覆うため舌を置くスペースが狭くなります。発音する際には舌がマウスピースに触れることになり、普段とは異なる感覚で話すことになるのです。
特に「サ行」「タ行」「ラ行」などの発音では、舌先を上の前歯の裏側に接触させる必要があります。マウスピースがあることで、この繊細な接触が阻害され、発音が不明瞭になりやすい傾向があります。
口腔内の空間変化による影響
発音には口腔内の「空間」も重要な役割を果たしています。声は喉から出て、口腔内の空間で共鳴し、最終的に言葉として発せられます。マウスピース矯正中は、この共鳴空間にも変化が生じるのです。
上下の歯の間の空間が狭まることで、頬と歯の間のスペースや唇と歯の間の距離が変わります。舌の可動域が制限されることで、口腔内の空気の流れ方も変化し、特に摩擦音である「サ行」「シ行」などの発音に影響が出やすくなります。
マウスピースの装着状態も関係する
マウスピースが浮いていると、話すときに口の中に圧力をかけられなくなるため話しにくくなることがあります。チューイーを使用せずに装着している場合は、マウスピースを正しく着けられていない可能性が高いでしょう。正しい装着方法を守ることで、発音への影響を最小限に抑えることができます。
発音しにくい音の特徴と対策
マウスピース装着時に特に発音しにくいとされる音には、共通した特徴があります。これらの音を理解し、意識的に練習することで、早期の改善が期待できます。
「サ行」の発音が難しい理由
「サ行」の発音は、息が狭い隙間を通過する時に生じる摩擦音です。マウスピースによってこの隙間の形状や大きさが変わると、発音に影響が出やすくなります。舌先を上の前歯の裏側に近づけて発音するため、マウスピースの存在が特に影響しやすい音なのです。
「タ行」「ラ行」も要注意
「タ行」や「ラ行」は舌先を上顎の前歯裏側(歯茎)に付けて発音する音です。マウスピースがあることで、この繊細な接触が阻害され、発音が不明瞭になりやすい傾向があります。舌は非常に敏感な器官で、わずか0.1mmの違いも感じ取ることができるため、マウスピースという「新しい環境」に舌が慣れるまでには時間がかかるのです。
英語の発音への影響
英語を使う機会が多い方は、「th(θ)」や「sh(ʃ)」の発音も舌の位置が重要なため、マウスピース装着中は発音しづらいと感じることがあります。これらの音も舌の細かい動きや位置によって作られるため、装着初期は特に注意が必要です。
発音トラブルが続く期間と慣れるまでの流れ
「この話しにくさはいつまで続くのだろう」と不安に感じる方も多いでしょう。実際には、多くの方が比較的短期間で慣れていきます。
装着直後から数日間が最も違和感が強い
マウスピースをつけた直後から違和感を感じる方がほとんどです。装着した瞬間、口の中の感覚が変わるため、発音しにくいと感じることがあります。最初の1~3日が特に話しにくいと感じる時期で、装着したばかりの時期は口の中に異物感があるため、違和感が強くなります。

1~2週間で大きく改善する
一般的には、矯正開始から数週間から数ヶ月で改善が見られることが多いとされています。多くの方が1週間から2週間程度で、ほとんど気にならなくなっていきます。人間の適応能力は素晴らしく、お口の筋肉や舌がマウスピースのある状態に慣れてくると、脳が話し方を自動的に補正してくれるのです。
新しいマウスピースに交換した直後の注意点
新しいマウスピースに交換した直後は、数時間~1日程度、少し違和感が戻ることもありますが、これもすぐに慣れていくことがほとんどです。矯正治療は段階的に歯を動かしていくため、新しいマウスピースごとに微妙な調整が必要になりますが、2回目以降は初回よりも早く適応できる傾向があります。
発音を改善するための実践的トレーニング
「少しでも早く慣れたい」という方のために、自宅で簡単にできる滑舌トレーニングをご紹介します。無理のない範囲で、楽しみながら試してみてください。
音読練習で舌の動きを慣らす
一番手軽で効果的なのが、新聞や本、ネットニュースなど、なんでも良いので声に出して読んでみる練習です。マウスピースを着けた状態で話すことに、舌や唇の筋肉を意識的に慣れさせていくことができます。毎日10分程度、好きな文章を音読するだけでも、発音の改善に効果が期待できます。
早口言葉で舌のコントロール力を高める
「なまむぎ なまごめ なまたまご」「かえるぴょこぴょこ みぴょこぴょこ」など、少し言いづらい言葉をあえて発音することで、舌をコントロールする良いトレーニングになります。ゲーム感覚で楽しみながらやってみましょう。最初はゆっくりと、徐々にスピードを上げていくことで、舌の動きがスムーズになっていきます。
舌を動かす体操を取り入れる
舌を動かす体操は、舌の筋肉を鍛えるのに効果的です。舌を左右に動かしたり、舌を上顎につけたり、舌を前に突き出したりする体操などがあります。これらの体操を1日数回行うことで、舌の可動域が広がり、発音がしやすくなります。
歌を歌ってリラックスしながら練習
好きな歌を口ずさむのもおすすめです。リラックスした状態で、メロディーに合わせて口を動かすことで、自然と口周りの筋肉がほぐれ、マウスピースのある環境に馴染みやすくなります。音程を気にせず、発音を意識しながら歌うことで、楽しみながら練習できます。
ゆっくりと丁寧に話す意識を持つ
早口で話すと発音がさらに難しく感じてしまいます。ゆっくり話すことで発音が改善され、自然に話しやすくなります。普段の会話でも意識的にゆっくりと話す練習をしてみましょう。口の開き方が制限される場合があるため、意識的に口を大きく開けて話す練習をすることも大切です。
日常生活での工夫と注意点
マウスピース矯正中の発音トラブルは、日常生活での少しの工夫で軽減することができます。仕事や社会生活への影響を最小限に抑えるためのポイントをご紹介します。
大切な場面での対応方法
大事な打ち合わせやプレゼンなど、どうしても気になる場合はマウスピースを外しても構いません。ただし、長時間マウスピースを外すと1日の装着時間がうまく取れずに、計画通りに歯が動かない可能性があります。普段は慣れるためにも意識して装着し、大事な予定以外は外さないようにしましょう。
口の中の乾燥を防ぐ
マウスピース装着していることに慣れるまで、無意識に口を開けてしまう方が多いです。そのため、口の中が乾燥しやすくなります。口の中が乾燥することで舌がうまく動かせなくなり、滑舌が悪くなる傾向があります。こまめに水分補給を心がけ、唾液腺マッサージをして唾液量を増加させることも効果的です。
マウスピースのフィット感を確認する
マウスピースがしっかりフィットしていない場合、話しにくくなる原因になります。適切にマウスピースを装着することで、話しやすさが大きく改善されます。装着したときにマウスピースが歯にぴったりとフィットしているか、チューイーなどを使用して確認します。マウスピースと歯の間に隙間があると、発音に影響が出やすいです。
周囲の理解と協力を得る
矯正中は、周囲に理解と協力を得ることが大切です。聞き取りにくい場合は遠慮せずに聞き返してもらいましょう。矯正中の苦労を理解してもらうことで、周囲の理解とサポートを得ることができ、精神的なストレスを軽減することができます。矯正は一時的なものです。矯正が終われば元の滑舌に戻りますので、矯正期間中はお互いに協力し、乗り越えていきましょう。

改善しない場合の対処法
ほとんどの場合、時間とともに発音の違和感は解消されますが、一定期間経過しても改善が見られない場合は、別の原因が考えられます。
マウスピースの適合に問題がある可能性
一定期間たっても話しにくさが改善されない場合、マウスピース装置の適合に問題がある可能性が高いです。通っている歯科医院で装置と歯がしっかり適合しているのか確認をしてもらいましょう。装着時に痛みや不快感を感じる場合、マウスピース装置が歯と合っていない可能性があります。この場合は担当の矯正医に連絡して、マウスピースの調整や再作製することをおすすめします。
口筋トレーニングの活用
適合に問題の無い場合は、口筋トレーニングなどの発音しやすくなるような運動をするのをおすすめします。専門的な筋機能療法(MFT)を取り入れることで、舌や口周りの筋肉を効果的に鍛えることができます。歯科医院で指導を受けることも可能ですので、気になる方は相談してみましょう。
歯科医師への相談が重要
マウスピースが変形もしくは破損していた場合には、話しにくいのはもちろん、歯が治療計画通りに動かなくなって治療が大幅に遅れる可能性があります。マウスピースの変形や破損によって滑舌が悪い場合は、治療にも大きく影響をおよぼすため、すぐに担当医に相談することが大切です。
まとめ|発音トラブルは乗り越えられる一時的なステップ
マウスピース矯正を始めたばかりの頃の話しにくい感覚や滑舌の悩みは、多くの人が経験する一時的なステップです。
話しにくさの原因は、お口が新しい環境に慣れようとしている証拠であり、慣れるまでの期間は1~2週間が目安となります。簡単なトレーニングで、慣れるまでの期間を早めることも期待できるでしょう。
「話すこと」への不安が、あなたがきれいな歯並びを手に入れるための障壁になっているとしたら、それはとても残念なことです。マウスピース矯正による滑舌の変化は、ほとんどの方が短期間で慣れていくものであり、矯正終了後に滑舌が悪くなることはありません。むしろ歯並びが改善されて発音がしやすくなる場合もあります。
ココロデンタル恵比寿では、マウスピース矯正に関する不安や疑問について、丁寧にカウンセリングを行っています。恵比寿駅西口から徒歩1分という好立地で、平日は21時まで、土曜日は18時まで診療を行っており、お仕事帰りや買い物の合間にも通院しやすい環境を整えています。
全室完全個室の落ち着いた空間で、患者様一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療内容を提供しています。3D口腔内スキャナーとCT画像を使った診査・診断、治療前後のシミュレーションなど、最新の設備を活用した精密な矯正治療を行っています。
マウスピース矯正に関するご相談は、どんな些細なことでもお気軽にお問い合わせください。まずはカウンセリングで、あなたのお悩みやご希望をじっくりお聞かせいただけませんか?
詳しくはこちら:ココロデンタル恵比寿
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著者情報
ココロデンタル 院長 小林 弘樹 Hiroki Kobayashi
経歴
2010年 日本大学歯学部卒業
2010年 日本大学歯学部附属歯科病院勤務
2011年 大崎シティデンタルクリニック勤務
2015年 麻布シティデンタルクリニック勤務
2017年 ココロデンタル恵比寿
2021年 ココロデンタル西麻布